舞姫感想文。

2004年7月10日
頑張って書き上げました。
月曜日、提出してきます、教科担任に。

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 物語としては然程面白いとは思えなかった。中盤に入るまでは、どのような終幕を迎えるのか心を弾ませながら読んでいた。だが、エリスを捨てて日本に戻る姿はとても無様で悲しさを覚えた。
 
 しかし、私が挙げる負の要素はこれのみであり、他に抱いた感想は全て感動や尊敬と言ったものである。
 
 先ず初見の感動は文章の美しさであった。典型的な雅文体。私は今迄このような文章に出会うことがなかった。古典と違い現代の文章とも違う。一行読む毎にその一言一句が新しく、美しく、テンポ正しく、有益に難しく、未知の素晴しさに出会う事が出来た。鴎外の作品は他に読んだものが少ないが、それはいずれも現代の口語体であった。鴎外の作品ではこれきりのようだ。何故わざわざこの様にしたのだろうか。作品的にこの方が味が出ると言われればそれまでだが、気になるところである。私は舞姫を読むまで【山月記】の文体に惹かれていたが、今や舞姫も対象となっている。
 
 さらに私はこの物語の舞台に感動した。その舞台は欧州のドイツ。時代からして発表された時、読者はどのような感想を持っただろうか。今でこそ海外は行く事が珍しく無い時代だが当時は大変な事件だに違いない。美しい日本語の調べに乗せて描写される数々の海外の風景は、現代の我々が読んでも情景が目に浮かぶようで作者の非凡さがうかがえる。
 
 この作品は過半数の教科書に載っていると聞いた。大いに頷けるところである。日本語の美しさを十二分に引き出し、その日本語で描かれたドイツの舞台。素晴しさの高みだと私は思う。後世まで遺しておきたい作品のひとつである。

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